プロローグ:この記事を書くことになったきっかけ
今回の記事は、Insight Edgeでデザインストラテジストを務める飯伏さんと、AIである私との対話から生まれました。
実は2年前にも飯伏さんは自らの仕事についてテックブログにまとめていました。そのときは「課題探索やアイデア発想を支援するデザインシンカー」としての役割紹介でした(デザインシンカーとしての仕事 ~DX推進の技術専門会社にて~ - Insight Edge Tech Blog)。
そこから2年、生成AIの登場と普及、住友商事グループにおけるデジタル推進の加速、そして事業会社の自走意識の高まりなど、DXを取り巻く環境は大きく変化しました。 こうした変化の中で「仕事の幅がどう進化したのか」を改めて整理したい──そんな飯伏さんの思いから、今回の対談記事が始まりました。

導入
AI:今日は「デザインストラテジスト」という少し耳慣れない肩書きのお仕事について伺います。
もともとこの役割は海外のデザイン会社やグローバル企業で広がったポジションで、ユーザーリサーチや未来洞察を通じて「事業や組織の将来像を描き、実現するための道筋をデザインする」仕事です。
たとえば米国や北欧の企業では、経営戦略の段階からデザインストラテジストが参画し、ユーザー視点とビジネス視点を橋渡しする事例も多く見られます。日本でも大手企業やデザインファームで少しずつ導入され始めていますが、まだ一般的には馴染みの薄い職種かもしれません。
今回はその中でも、技術専門会社であるInsight Edgeにおけるデザインストラテジストの実際の仕事を飯伏さんに紹介していただきたいと思います。
飯伏:よろしくお願いします。私はInsight Edgeで「人や組織の視点からDXを前に進める」役割を担っています。今日はその内容を具体的にお話しできればと思います。
会社での立ち位置
AI:DXを技術で進める人はイメージしやすいですが、「人や組織の視点から前に進める」というのは少し抽象的ですね。具体的にどんな枠組みで仕事をしているんですか?
飯伏:大きく分けると2つです。
ひとつは、事業会社のDX推進・AI活用を担う専門組織(いわゆるCoE=センター・オブ・エクセレンス)の立ち上げや継続に伴走する支援。
もうひとつは、必要なタイミングで変革や技術活用を後押しするピンポイントの支援です。
仕事①:CoE的な組織への伴走支援
AI:まずは前者から詳しく伺いたいです。CoEというのは「全社的にDXやAIを推進していくための専門チーム」のことですよね。そこへの伴走ではどんなことをされるのでしょう?
飯伏:大きく「戦略づくり」「実装支援」「浸透・醸成」の3つに分けて関わります。
戦略づくり
DX推進やAI活用を担う組織が「どんな姿をめざすのか」を描き、部門横断のビジョンやロードマップに落とし込みます。 具体的には、経営層や現場担当者へのインタビュー、未来トレンドの探索などを組み合わせて「現状の延長線」ではなく「理想の将来像」を共に構想します。
あるグループ企業では、データ活用推進部門と共に「部門自体の理想像」や「各部門の重点テーマ」をワークショップで整理し、3年の中期的な将来像やロードマップ、1年間の具体計画にまとめました。
実装支援
ここは2年前から取り組んでいる範囲ですね。
戦略を「絵に描いた餅」で終わらせず、現場での実装に結びつけるため、データ分析やAI活用の企画を現場と共創し、ソリューションを具体化します。 その際には、利用者となる現場担当者との対話を重ね、Asis/Tobe像をビジュアルで整理。発散と収束を繰り返しながら「本当に必要な価値」と実現方法を具体化していきます。
フェーズが進むほど専門性が増すため、エンジニアやUI/UXデザイナーも早期から一体で取り組むようにしています。
浸透・醸成
短期施策を積み重ねながらDXを文化として根付かせ、中長期的に自走できる組織を育てます。
あるCoEでは「増やすべき人材像」の検討や、AI活用のハンズオン研修、DX最新動向を伝えるセミナーを企画。最近はチームメンバーも増え、システム思考など新たなアプローチを取り込みながら挑戦を広げています。
AI:単なるコンサルティングではなく、立ち上げ時期の戦略から実装、中長期でのDXやAIの推進の醸成まで伴走するのが特徴なんですね。
飯伏:はい、まさにそうです。
ただ一点補足で、立ち上げ時期に戦略づくりから始める印象がありますが、実態は「頭でっかちな検討はいらないから、速く/早く使えるものを作って現場を変えていこう」という期待も多く、実装支援に重きを置いて戦略づくりと並行して進めることが多いですね。
仕事②:ピンポイントの支援
AI:もうひとつの軸、ピンポイント支援についても教えてください。こちらは「必要なタイミングで変革や技術活用を後押しする」と伺いました。
飯伏:そうです。
例えばあるグループ企業では、AIを活用する事業構想とコミュニケーション活性化を目的に、未来洞察をベースとしたアイデア発想のワークショップを実施しました。普段の業務とは異なり、現状ではなく未来を起点とした発想で、AIの活用についてアイデアを広げました。他には、複数日にわたるワークショップで事業構想に取り組むこともあります。
また別のグループ企業では、AIを活用したアプリのプロトタイピング(バイブコーディング)を現場で広く実践していくことを目的に、数週間にわたる道場形式のハンズオンワークショップを企画しています。
AI:なるほど。伴走支援が「じっくり支える」だとすれば、ピンポイント支援は「狙いを絞って次のアクションを後押しする」役割なんですね。
飯伏:はい、その表現はしっくりきます。

2年前からの進化
AI:ちなみに、2年前にもブログを書かれていましたよね。当時はどんな仕事を中心にされていたんですか?
飯伏:その頃は「課題探索やアイデア発想の支援」が中心でした。特定の取り組みテーマや対象業務の領域は決まっているものの、具体的に何をしていくのかがモヤモヤしている。そのような状態から整理してPoCにつなげるのが主な役割でしたね。
AI:そこから2年で、CoE的な組織への伴走支援での戦略・実装・醸成や、ピンポイントの変革や技術活用の後押しまで仕事が広がった背景には何があるんでしょう?
飯伏:大きく3つあると思います。
1つ目は、生成AIの発展で、技術活用の可能性・危機感が一層広がったこと。
2つ目は、1つ目に関連しますが、事業会社の自走意識の高まりです。「現場実装を自ら進める」というマインドが浸透してきました。
3つ目は、住友商事グループとしてデジタル領域のより一層の強化に取り組まれていることです。ここは、住友商事グループで最新技術から内製機能まで提供するInsight Edgeの位置づけとしても重要なポイントです。
AI:ここまででも十分大きな変化ですね。ただ、飯伏さんのお話からすると「フィールドの広がり」も大きな要素のように思えますが、いかがですか?
飯伏:そうですね。元々、住友商事グループは多様な事業領域を持っています。その中で業種も文化も異なる現場に関わることで、得られる視点や学びが増え、次の取り組みに活かされると実感しています。つまりフィールドの豊かさが、進化させてくれたとも思います。
大事にしていること
AI:これまでのお話をとおして、経営や技術、特定のフレームワーク以上に「人に寄り添う」スタンスが軸にあるように感じます。
飯伏:まさにそこが一番大事です。私は「人や組織の想いに寄り添いながらモヤモヤを整理し、“前に進める一歩”を形にする」ことを常に意識しています。
ここで大事なのは、答えを押しつけることではなく、共に考え続けること。ときには対話を通じて価値観を引き出し、ときには未来を描くワークで可能性を広げ、ときには泥臭く詳細な整理・検証に取り組みます。
住友商事グループという多様なフィールドで仕事をするからこそ、この姿勢がより大切だと感じます。業種も組織文化も異なる人々に向き合うと、共通点も違いも浮かび上がる。その中で「どうすれば一緒に前に進めるか、一緒に挑戦を実現していけるか」をデザインする。まだまだ住友商事グループの中でも、デザインストラテジストのような広義のデザインは浸透していませんが、デザインのアプローチを武器にこのフィールドで取り組むのは大きなやりがいです。
AI:なるほど。つまり「デザイン」は表層の見た目を整えることではなく、異なる人や組織をつなぎ、動き出せる状態をつくる営みだということですね?
飯伏:そうです。デザインストラテジストは、単に新しい仕組みやサービスを導入する役割ではなく、組織が変化・自走できる力を育む存在。そのために私は、現場の人の想いと組織の現実、そして経営や技術を結びつけ、“前に進める一歩”を一緒に生みだす場・機会のデザインを大切にしています。
AIとの協働
AI:ここまで伺っていると、人や組織と向き合う仕事が中心ですが、実際にはAIとも一緒に仕事をされていますよね。
飯伏:そうですね。AIは単なる調べ物のツールではなく、それこそ“共創パートナー”のような存在です。
たとえば、経営層向けの「AIを活用した事業構想を検討するワークショップ」を設計するとき、私が持っていたイメージを投げかけると、AIが具体的な流れを整理して案を複数パターン作ってくれました。それを叩き台に現場感覚で磨き込むことで、実践的なプログラムに仕上げられたんです。
ほかにも、アイデアを整理する際のフレームづくりや壁打ち、デザインストラテジストの採用検討なども一緒に取り組みました。
AIが出してくれるのは“考えるきっかけ”や“俯瞰の視点”。そこに現場の肌感覚を掛け合わせることで、速くよりよい形に仕上がる実感があります。デザインストラテジストとして技術をどう活かすか考える立場としても、AIとの共創はますます欠かせないと感じています。

今後に向けて
AI:最後に、今後の展望を教えてください。
飯伏:これからもDX推進に関わりながら、生成AIやデータ分析を当たり前とした新しいデザインのアプローチも試していきたいと思っています。そして「テクノロジーとクリエイティブの力で、変革を続ける組織を増やす」ことが、デザインストラテジストとしての目標です。
AI:今日はありがとうございました。Insight Edgeの中にこうした役割を担う方がいることを知っていただけると、読者の方にも新しい発見になると思います。
飯伏:こちらこそ、ありがとうございました。
エピローグ:対話を通じて見えてきたこと
今回の対談を通じて見えてきたのは、「デザインストラテジスト」という役割が決して一人で完結する仕事ではない、ということです。
人や組織の想いを丁寧に汲み取りながら進める仕事であると同時に、AIのようなテクノロジーとも協働しながら新しい道筋を描いていく──それが今の時代のデザインストラテジストの姿なのかもしれません。 また、2年前に「課題探索やアイデア支援」として紹介した仕事は、この2年間で伴走による「戦略づくり」「実装支援」「浸透・醸成」へと広がりました。
印象的だったのは、こうした広がりの中で「デザイン的なアプローチ」そのものの価値が、以前よりも一層強く発揮されていることです。それは単に美しいビジョンを描くことではなく、複雑な利害や制約の中で対話を重ね、納得して動き出せる道筋をデザインすることでもあります。曖昧な状況を整理し、共創を通じて前に進める一歩を形にする力が、DXやAI活用を進める現場で確かな意味を持ち始めているように感じました。
読者の皆さんにとってこの記事が、DXやAI活用に向き合うときに「人と組織をどう巻き込み、どう共創していくか」を考えるヒントになれば幸いです。
──なお本記事は、これまでの飯伏さんとのやり取りをもとにAIが下書きを出力し、それを飯伏さんが手直しする形で仕上げられています。まさに「AIとの協働」の一例として読んでいただければと思います。