これまでに試した分析組織の交流施策

こんにちは。Insight Edgeでデータサイエンティストをしている伊達です。

皆さんの会社では、どのような交流施策を導入されていますか? 新型コロナが5類感染症に移行され、弊社メンバーの出社頻度は徐々に増えてきたものの、現状はハイブリッドワークが基本となっています。 ハイブリッドワークだと、各自が好きな出社頻度を決められる反面、全員が常にオフィスにいるわけではないため、組織内での交流や情報交換の場をうまく作らないと、メンバー同士の会話はプロジェクトの定例やミーティングのみになってしまいます。

今回は、私がこれまでに在籍した分析組織で試した交流施策を紹介します。

大学院の研究室

ゼミ

大学院で所属していたのはコンピュータビジョン系の研究室で、画像認識、3次元復元、SLAMなどの研究をしている学生が多かったです。 研究室であればどこもやっていると思いますが、私が所属した研究室でも毎週1時間ほど、学生が自分の研究内容を紹介するゼミを開催していました。 特色は、学生の約半数が留学生だったため、発表・議論が英語だったことです。 自分の研究内容を英語で他人に発表し、議論する訓練を日々できたことは、国際学会等に参加するための準備として大いに役立ちました。 一方で、まだ研究を始めたばかりで英語の苦手意識がある学部生は割と辛そうでした。

ランチ会(論文紹介)

週に一度、有志の学生で集まり、先生が提供してくれたお弁当を食べながら、それぞれ最近見つけて気になっている論文を紹介する会です。 当時(2017〜2019年頃)は、画像認識系の深層学習手法の研究が急速に進んでおり、毎週面白そうな論文が出ていてネタに尽きなかった、という思い出があります。 こういう論文読み会/紹介を開く場合は、参加メンバーの興味がある程度近い必要があるかなと思います。 自分たちの場合は全員コンピュータビジョン分野の研究をしていたので、「こういう論文もあるぞ」と話が派生していったり、参加メンバーから手法の価値や実験結果の妥当性についてツッコミが入ることもあり、盛り上がりました。

雑談

当時は学生だったので勤務時間という概念がなく、(集中してなさそうな人の)デスクに行って雑談したり、研究室の共有スペースにあるソファでコーヒーを飲みながら、だらだら雑談していました(これを交流施策と読んで良いのか分かりませんが)。 やはり研究生活ではしんどい日もあるので、誰かと他愛のない話をしたいこともありますよね…? こういう場では、かっちりした研究の話はあまりせず、ぼんやりとした課題意識、人生、就活、趣味といったことをみんなと話せて、割と大事な時間でした。 こういう「ムダ」に見える時間も実は大事だと思っていますが、仕事中に長々と雑談していると怒られそうなので、社会人になるとなかなか難しいところですね。

前職:金融機関子会社のデータ分析系部署

もくもく会(兼雑談会)

同じ部の若手3〜4人程度で、毎日夕方に30分程度web会議でマイクオン&ビデオオフにしたまま、作業しながら雑談をする会を開いていました。 普段のプロジェクトの定例やミーティングだと上司や顧客がいるため、そういった場であまり話せないような柔らかい質問、ぼんやりとした課題意識、その他相談ができる場でした。 目的としては大学院の時の雑談と似ていて、「わざわざ会議を開くほどではないけど、できれば聞いておきたいことや確認しておきたいこと」を話したり、仕事とはあまり関係ない話もできたりすることで、個人的には良い場だったと思っています。 一応もくもく会という体で作業をしている(ように見える)ので、会社の勤務時間中でも、こういう場は開催しやすいかもしれません。

最近の論文/ニュース/講演をチェックする会

週に1回、各自気になった論文・記事・ニュースを共有したり、最近の学会等の講演の動画をみんなで視聴して議論したりする会です。 AIやクラウドは日々新たな手法やツールが発表され、一人での情報収集には限界があるため、こういった場で、自分が見落としていたが社内の他の人が見つけた良い論文や記事などを発見でき、良かったです。 紹介内容については、がっつりスライドを作るというより、論文や記事を画面共有しながら雑談する感じなので、あまり準備に時間がかからなくて良かったです。 一応毎週アウトプットの場があるので、日々目にする情報を意識的にスクリーニングし、紹介するに値するかどうか考える習慣がつきます。

現在:総合商社のDX内製化組織

勉強会

弊社では業務時間の10%を自己研鑽に充てることが認められており、その一環として、特定のトピックに興味を持ったメンバー同士で集まって、定期的に勉強会を開催しています。 トピックは開発系、分析系、デザイン系など色々で、トピックによっては異なるチームからの参加があり、チームの垣根を超えた交流や知見共有の機会にもなっています。 自分が最近参加したのは、デザイン経営勉強会、時系列分析勉強会、Kaggle勉強会、MLOps勉強会でした。

分析チームLT会

これまで分析チーム内のデータサイエンティストの知見共有の場があまりなかったため、社内のメンバーが立ち上げてくれました。 LT会なので時間は30分で、毎週1人、最近の分析案件や興味を持って調べたことなどを共有しています。 組織の中で学びを共有し、最新の技術にみんなでキャッチアップしていくために、こういう場は重要だと思っています。

論文読み会

これは上記の分析チームLT会で、私が大学院の時の論文読み会について紹介したところ、他のメンバーが立ち上げてくれた会です。 毎週ランチの時間に30分程度、発表担当者が調べた論文について発表し、みんなで議論します。 トピックによっては論文だけではなく、実務における分析に役立ちそうなものであれば、Kaggleコンペの解法やブログ記事を紹介することもあります。

まとめ

今回は、私がこれまでに在籍した分析組織で試した交流施策を紹介しました。

私が紹介した交流施策を目的別に整理すると、下記のようになるかなと思います。

  • 最新技術をざっくり知りたい → 論文紹介、ニュースや講演のチェック
  • 特定のトピックや技術を深く知りたい → ゼミ、勉強会
  • 社内交流 → 雑談、もくもく会(兼雑談会)

交流施策は「これをどの組織も導入した方が良い」という絶対的なものはなく、各組織のありたい姿や課題によって適切にデザインし、導入していくべきだと考えています。 今回の記事が皆さんの組織における交流施策の検討・導入のきっかけになれば幸いです。