​​AI World 2023 日本のChatGPTソリューションの最前線

こんにちは!Insight Edgeの塩見です。

2023年7月11日(火)~13日(木)の3日間、東京ビッグサイトにて「AI World 2023」が初開催されました。本展示会では、ChatGPTを活用したソリューションが数多く展示されていたため、その内容をご紹介したいと思います。

AI Worldとは?

AI Worldは、ビジネス変革と業務効率化をテーマとした大型展示会です。この展示会では、DX(デジタルトランスフォーメーション)、業務効率化、チャットボット、機械学習、画像・音声認識、自然言語処理、対話AIを始めとする最新のAIソリューションが一堂に展示されます。商談を求める企業にとっては、課題解決のための貴重なヒントを手に入れることができ、またAI技術の最先端を一目で確認することができる場となっています。 

AI World 2023

さらに、この展示会はリアルな場所での展示の他、オンラインでのセミナー視聴や製品資料のダウンロードも可能です。これにより、遠方からの参加者や、展示会場に来ることができない方でも情報収集が容易になっています。

場所としては、東京ビッグサイト(西1・2ホール)を使用して開催され、展示製品数は同時開催された他展示会と合わせると、日本最大級とされる約870製品が出展されました。また、デジタル庁や総務省、東京都などの公的機関からの後援を受けており、その規模と重要性を物語っています。実際、来場者数は計22,295名であり、業界関係者やビジネスパーソンからの高い関心が伺えます。

ChatGPTとは?

ChatGPTは、OpenAIによって開発された大規模な言語モデルを活用したAIチャットサービスです。ユーザーとの対話形式で情報提供や問い合わせ応答が可能であり、その高度な自然言語処理能力により、様々なビジネスやサービスに応用されています。ChatGPTは2022年末に公開され、その後、急速に利用者数が増加しました。

2023年2月、本展示会と類似内容の展示会であるDX EXPOが開催され、その場でも多くのAIソリューションが展示されていましたが、ChatGPTの公開から間もない為、ChatGPTに関連したソリューションを展示していた企業は1社程度しかありませんでした。

一方、本展示会では、10を超えるChatGPTソリューションが展示されており、多くの企業がChatGPT公開後に関連サービスの開発を進めていたことがわかります。実際、これらのソリューションは展示会見学者の注目を多く集めており、企業だけでなくユーザの期待値も高いことが想定できます。

各社のChatGPTソリューション紹介

ここからは、AI Worldにて展示されていたChatGPTソリューションを一部ご紹介します。各ソリューションの詳細が記載されたWebページへのURLリンクも併せて載せていますので、こちらもご参照ください。

株式会社AVILEN 「研修、アイディアソン、ソリューション開発」

株式会社AVILENでは、ChatGPTをビジネス活用する上で、各社の課題やフェーズに応じたソリューションを一気通貫で支援するサービスを提供していました。

具体的には、以下の支援サービスがあります。

  • ChatGPTビジネス研修
  • ChatGPTアイディアソン
  • ChatGPTソリューション開発(Chat Mee, Chat Mee Pro)

ビジネス研修では、「そもそもChatGPTで何ができるのかわからない」というユーザ向けに、ChatGPTの基礎知識をE-ラーニングで学習してもらいながら、ChatGPTを実際に体験するワークを実施します。

アイディアソンでは、「ChatGPTを自社でどのように活用できるかアイディアが欠けている」と感じるユーザ向けに、企画立案から実行まで、コンペ形式でAVILENがサポートします。

ソリューション開発では、「ChatGPT導入・開発に必要なノウハウやリソースが不足している」と感じるユーザ向けに、ChatGPTに精通したデータサイエンティストが課題の明確化から開発、保守まで一気通貫で支援します。

現在、ChatGPTの利用は日本国内でも増加していますが、まだChatGPTを利用したことがないユーザが大多数であることを考えると、ChatGPTの基礎教育・業務課題やユースケースの整理・ソリューション開発といった一連の流れをサポートするこのサービスは、非常に有益だと感じました。

株式会社AVILEN ChatGPT活用支援サービスの詳細はこちら

株式会社ギブリー 「法人GAI・行政GAI」

株式会社ギブリーでは、法人・行政でChatGPTを安全に使用できるGAIサービスを展開しています。ChatGPTを法人・行政内で使用する場合、機密情報が漏洩する可能性がありますが、これらのGAIサービスでは、情報が外部に漏洩するリスクをなくしつつ、ChatGPTを法人・行政内で使用することが可能です。

その他、NGワードの登録、ユーザの利用状況をモニタリングできるダッシュボード機能、実務における様々な利用シーンを想定したプロンプトレシピ機能等、ChatGPTを実務で活用する上での利便性の高い機能を多く揃えています。

セキュアな環境でChatGPTを活用する為のサービスは、直近続々とリリースされている印象がありますが、プロンプトレシピやダッシュボード機能など、ユーザに選んでもらう上では、プラスアルファの機能が重要になってくるのかなと思います。

株式会社ギブリー 法人GAIの詳細はこちら

株式会社ギブリー 行政GAIの詳細はこちら

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 「TIMO Meeting」

TIMO Meetingは、会議プロセスのデジタル化を通じて、生産性向上を実現する国内初のミーティングマネジメントツールです。本ツールにもChatGPTが活用されており、「AIアシスタント」と「AIアドバイザリー」の2つの機能があります。

AIアシスタントでは、会議予定に添付された資料を読み込み、資料を元にして、会議の目的・背景・論点などを端的にまとめてくれます。これにより、会議参加者は事前にこの会議がどのようなものかを理解することができ、会議の効率性や効果の改善に繋がります。

AIアドバイザリーでは、会議予定の添付資料に関する質問をチャット形式で投げかけることで、資料内容を要約してもらう等、AIからの様々なアドバイスを受けることができます。

TIMO Meetingでは、自社独自ソリューションにChatGPTを組み込み、他社と差別化を計りつつソリューション価値を向上することが出来ている良い事例かと思います。

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 TIMO Meetingの詳細はこちら

Allganize Japan株式会社「Alli」

Allganize Japan株式会社は、AIチャットボットのAlliを展示していました。就業規則などの社内資料を元に、ユーザの質問に対して、ChatGPTの自然な応答を元に回答をしてくれるようです。

Allganize Japan株式会社は、2023年2月に開催されたDX EXPOでも自社ソリューションの展示を行っていましたが、DX EXPOの中で唯一、ChatGPTを活用したソリューションの展示を実施していました。この時の展示スペースはとても小さかったのですが、今回は非常に大きなスペースでAlliの紹介をしていました。

スタッフの方にお話を伺ったところ、前回の展示会以降、ChatGPTに関する問い合わせが大きく増え、今回ブースをさらに拡大することになったようです。ChatGPTのサービスリリースは昨年末でしたので、わずか1~2ヶ月で展示会にソリューションを出展したことになります。この迅速な対応は非常に印象的であり、今回のAI Worldでも、多くのユーザから注目を集めていました。

Allganize Japan株式会社 Alliの詳細はこちら

まとめ

近年、ChatGPTの活用範囲は日本国内でも拡大しており、多くの企業が各社独自のビジネスモデルにChatGPTを取り入れて、自社サービスの成長を促進しようとしています。

今回の展示会では、セキュアな環境でChatGPTを使用できるソリューションが数多く展示されていました。実際、このようなソリューションへのニーズは増加しているように感じます。

一方で、2023年8月にはOpenAIから法人向けのChatGPT Enterpriseが発表され、更なる付加価値を持つChatGPTソリューションの提供が開始されました。このような状況下、ChatGPTの単なる機能提供を行うソリューションでは、今後の差別化は難しいと感じられます。

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社のTimo Meegingのように、自社独自ツールの価値を向上させるためにChatGPTを活用する、または株式会社AVILENのように、ChatGPTのユースケース整理やコンサルティングサービスを提供する、といった取り組みが重要であると感じました。これは、今回の展示会を通じて得た私の個人的な感想です。

今後もChatGPTの進化と、それを取り入れる企業の斬新なアイディアに注目していきたいと思います。