住友商事グループのDX・AI専門組織で、ロゴとサイトを刷新した話

こんにちは。Insight Edge(以下、IE)でデザイナーをしている水上です。

この記事では、IEのブランドロゴとコーポレートサイトを全面的につくり直したプロジェクトについて、制作プロセスとその裏側をお伝えします。

設立6年目、なぜ今リニューアルが必要だったのか

IEは住友商事グループのデジタル・AI専門組織として、2019年に設立されました。グループ各社の事業課題に入り込み、構想から実装まで一貫して伴走するのが私たちの仕事です。

私はIEで約2年、プロジェクトやマーケティング、イベントのデザインを担当してきました。その中で、IEがグループ内でどんな立ち位置にあり、何を期待されているのかが少しずつ見えてきました。

一方で、設立から6年が経ち、私たちを取り巻く環境は大きく変わっていました。生成AIの急速な進化、グループ外への展開、グローバル案件の増加。従来のロゴは線が細くフラットな印象で、競合と並んだときに埋もれてしまう。サイトもIEの独自性を十分に伝えきれていない。事業の発信を強化し、一緒に働く仲間を惹きつけていくために、ブランドの土台から見直す必要がありました。

最初に決めたルール:「好き嫌い」でデザインを判断しない

プロジェクトの最初に、私はひとつのルールを決めました。「かっこいい・かっこよくない」でデザインを選ばない、ということです。

ロゴやサイトは個人の作品ではありません。IEという組織のための、戦略的なデザインです。「どの選択がIEにとって最適か」を常に判断基準にする。この前提をプロジェクトの軸に据えました。

具体的には、IEのMission / Vision / Valueを土台にして、まず「IEはどんな性格の組織か」を定義する。その上で、競合との違いや顧客に届けたい印象を明確にしてからデザインに落とし込む。いわば、土台から順番に積み上げていくアプローチです。

まずは「IEらしさ」を3つの言葉にした

デザインをつくる前に、私はまず「IEらしさとは何か」を言葉にする作業から始めました。

DX・AI領域には似たポジションの企業がたくさんあります。その多くが「実行力」「安定感」「知性」をブランドの軸にしています。IEも同じ方向に寄せるのではなく、自分たちならではの色を出す必要がありました。

競合分析と社内の議論を重ねて辿り着いたのが、IEのバリュー「やり抜く・やってみる・みんなでやる」と結びつく3つのコアパーソナリティです。

推進力(Drive):仮説を立てたらすぐ動く。プロトタイプから実装までやり切るスピードと覚悟。

共創力(Co-Creation):顧客と同じ目線で課題を掘り下げ、一緒にビジネスの価値をつくる力。

探索力(Exploration):AI・生成系技術・まだ見えていない課題領域に先回りして踏み込む姿勢。

不可能図形「ペンローズの三角形」をロゴにした理由

言葉が決まったら、次はそれをどう形にするか。ここからが実際のデザイン作業です。

大手総合商社内のグループ企業の中でどう見られるか、常に俯瞰の視点を意識すること。先端テクノロジーを標榜する企業としての新鮮さと保守的な判断の際(きわ)を丁寧に探ること。経営陣との対話の中で何度も意識したポイントです。

そのバランスを探り続ける中で辿り着いたのが、3つのパーソナリティを3本の矢印とペンローズの三角形で表現するアイデアでした。

矢印は前に進む推進力。3つの方向は探索力。3本が組み上がる構造は共創力。そしてペンローズの三角形は、三次元に見えるのに実際には存在しえない「不可能図形」です。まだ形のない課題に対しても、多角的に向き合い、解決の道筋を切り拓く。IEが顧客と向き合うときの姿勢を、この図形に重ねました。

ブランドカラーには、すこし紫がかったウルトラマリンブルーを「IE Blue」として定義しました。住友商事グループのデジタル系企業はブルー基調が多い中で、IEらしい先進性を感じさせる色として選んでいます。

サイトは「IEを言葉で伝える場所」にした

今までIEはMission / Vision / Valueという柱のみでブランドを語ってきました。しかし、DX・AI領域のプレイヤーが急増する中で、それだけでは足りないと感じていました。IEに何を期待できるのか、どんなキャラクターの組織なのか――その解像度を上げるための言葉を、もっと丁寧に紡いでいく必要がある。経営陣との対話の中で繰り返し出てきたこの想いが、コーポレートサイト刷新の出発点です。

今回のサイトリニューアルの目的は、見た目を整えることではありません。IEが自分たちの言葉で語れる場所をつくることです。

デザインのトーンで意識したのは、「先進的で知的なテクノロジスト」としての顔と、「顧客と一緒にビジネスの価値をつくる」親しみやすさの両立です。IEにはコンサルティングの機能もあり、市場や顧客に直接向き合う場面が多い。だからこそ、テクノロジー企業にありがちなクールさだけでは足りない。シンプルな表現の中にどうこだわりを込めるかが、デザイン上の大きなテーマでした。

サイトのキービジュアルには、ロゴの三本の矢がそれぞれの方向へ広がり、再び結束するアニメーションを採用しています。個々の推進力や探索力がバラバラに動くのではなく、その先で新たなつながりを生み出していく。IEの働き方そのものを表現したいと考えて、この動きに辿り着きました。

ビジュアル素材にもこだわりがあります。サイト内のイラストにはAI生成を活用していますが、抽象的なイメージビジュアルではなく、実際の案件事例を補足する具体的なイラストとして制作しました。ブランドトーンに沿った色味やタッチを統一することで、IEの世界観を視覚的に支える役割を持たせています。

メインメッセージは "Drive change with Insight. ― 技術と経験を磨き、共に未来の一歩をつくり出す。" です。変化の激しい領域で歩みを重ねてきたIEが、これから目指す姿勢を新しい言葉にしました。

リリースはゴールではなくスタート

プロジェクトを通じて、経営・マネージャー陣には何度も率直な対話の時間をいただきました。忙しい中でブランドの言葉や方向性を一緒に考えてくださったこと、コーポレートサイトの仕上げに力を貸してくれた外部パートナー、そして個別事例や採用・翻訳に協力していただいた社内のメンバー。関わってくださったすべての方に、心から感謝しています。

DX・AI領域は変化のスピードが速く、今日の最適解が3ヶ月後には古くなっていることも珍しくありません。だからこそ、ブランドもデザインも、事業の成長に合わせてチューニングし続ける必要があります。

ここからまた一段と、IEの存在と価値を伝えるデザインをアップデートしていきます。

株式会社Insight Edge コーポレートサイト:https://insightedge.jp/