開発者がPMへの挑戦を決めた経緯と、押さえたい初歩的PMポイント

開発チームの塚越です。Insight Edgeに加わって1年が経ちました。開発業務に携わらせていただき、日々楽しく過ごしています。

目次

1. 概要

私はこれまで開発ロールに専念していましたが、最近PMへ挑戦する機会に恵まれました。この記事では、挑戦するに至った経緯と、PMとして実践しようと考えている重要なポイントを共有します。

「PMに挑戦した経緯」の章では、なぜ私がPMロール担当しようと思ったのか、その背景と理由を説明します。

「押さえたい初歩的PMポイント」の章では、PMとして案件を遂行するために重要だと考える基本的な要点をまとめました。これらは、私自身が学び、実践しようとしているポイントです。

なお、この記事の内容は私個人の経験と見解に基づいています。組織や状況によって最適なアプローチは異なる可能性がありますので、ご了承ください。

2. PMへの挑戦を決めた経緯

自身のキャリアを考える中で、開発スキルに加えて別の強みも持ちたいと考えました。特に、PMの役割も担える開発者というキャリアパスに興味を持ちました。開発者としてのスキルだけでなく、プロジェクト全体を成功に導くための視点や力を養いたいと考えています。自分がリードする立場になり、プロジェクトに関わる人たちの力を引き出しながら成功を目指すという役割に魅力を感じました。

Insight Edgeはメンバーの成長を重視し、組織全体の能力を引き上げる文化が根付いていると感じています。この文化の中で、私も上司や同僚に相談を重ねる中で、PMを兼任する形での挑戦が実現しました。

PMを専任する選択肢もありましたが、PMと開発の齟齬を少なくするために、兼任可能な案件規模でのPM兼任開発者を希望しました。本記事では、この体制下でPM兼任開発者として成功するために重要だと考えるポイントをまとめています。

ここで紹介するポイントは主にPMとしての観点に焦点を当てており、開発者の視点を活かしたプロジェクト運営の利点も反映されていますが、強調するものではありません。重要なのは、前述の経緯を念頭に置きつつ、PMとしての役割を効果的に遂行することです。より効果的で満足度の高いプロジェクト遂行の実現に向けた取り組みの一部として、この経験を共有させていただきます。

3. 押さえたい初歩的PMポイント

3.1. 顧客とプロジェクトの方向性を一致させる

プロジェクトの成功には、顧客との方向性の一致が不可欠です。方向性がズレると顧客の期待値を超えることは困難になります。この問題を防ぐために、以下の2つの重要なポイントに注目しました。

3.1.1. 顧客はITのプロではないことを認識する

最初に意識したいのは、顧客がITの専門家ではないということです。これは当たり前のように思えることですが、実務の中ではつい忘れてしまいがちです。私自身、技術的な背景を持つ立場から話してしまい、結果的に顧客との間で認識のズレを生むことがありました。この点を克服するため、私は以下の取り組みを行おうと考えています。

  • 重要性と潜在的な問題:

    • コミュニケーションギャップにより、認識のズレが生じやすい
    • ズレに気づくのが遅れると、修復困難や手戻り、顧客の不満につながる
    • 適切に対応すれば、プロジェクトの円滑な進行と顧客満足度の向上が期待できる
  • 対策と実践のコツ:

    • 会議や報告の前に、この点を自己確認する
    • 専門用語を避け、わかりやすい言葉で説明する
    • 技術的な説明には具体的な例や比喩を用いる
    • 顧客からの質問を歓迎し、理解度を把握する機会とする

3.1.2. プロジェクトの目的を常に問い続ける

プロジェクトの進行中に目的がぼやけてしまうことはよくある問題だと思います。その結果、顧客の期待に応えられない成果物ができてしまうリスクを防ぐため、私は目的意識を常に持つことを意識していきたいと考えています。

  • リスクと影響:

    • 他の製品との差別化が曖昧になり、競争力が低下する
    • 実際には使われない、または活用されない製品が完成する
    • 表面的には要件を満たしているが、顧客満足度や費用対効果が低い
    • プロジェクトの成果が組織の戦略やビジョンと乖離する
  • 対策と実践方法:

    • 定期的に「何のためにこのプロジェクトを始めたのか」を問い直す
    • 方向性に違和感を感じたら、顧客自身に目的を語ってもらう
    • チーム内でも同様のアプローチを取り、ときには他メンバーに顧客の前で語ってもらう

3.2. 成功する見込みがあるプロジェクトか確認する

プロジェクトの成功とは、私の見解では以下のいずれかを達成することだと考えています:

  1. 顧客の期待値を超えること
  2. 費用対効果が十分に得られること

プロジェクトにアサインされる段階で、以下の要素を慎重に評価することが重要です:

  • 顧客側の期待度(案件の要件スコープ)
  • 予定している工数
  • プロジェクト期間
  • アサインされるチームメンバー

これらの要素を総合的に検討し、与えられた条件で顧客の期待を超えることができるか、または十分な費用対効果が得られるかを判断したいと思います。

もし、現状の条件でプロジェクトの成功が難しいと判断した場合、以下のアクションを取ることを検討します:

  1. 早期の情報収集:

    • 契約提案段階から、営業部門と顧客とのやりとりを注意深く確認する
    • 必要に応じて、追加情報の収集や不明点の明確化を要求する
  2. 上司との相談:

    • プロジェクトの成功に懸念がある場合、早期に上司へ相談し、対策を検討する
    • 工数、期間、またはチーム編成の見直しの必要性を議論する
  3. 契約締結前の調整:

    • 情報収集と上司との相談結果に基づき、以下の調整を提案する:
      • 顧客の期待値を適切なレベルに調整する
      • 契約内容(スコープ、期間、予算など)の再交渉する
      • プロジェクト体制の見直しを行う

このように、プロジェクトの初期段階で成功の可能性を見極めることもPMとして重要な役割だと感じています。各要素を慎重に確認し、条件が揃っていない場合は早めに調整をすることでプロジェクトの成功率を高めたいと考えています。

3.3. 内部のコミュニケーション量を増やす

3.3.1. 阿吽の呼吸を生み出す

プロジェクトは計画通りに進まないことが多々あると思っています。台本のなくなった講演会を想像してみました。そのような状況では、メンバー間の阿吽の呼吸で講演を進める必要があります。コミュニケーションが活発なチームほど、台本なしでも「講演」を続けられる可能性が高くなると思いました。

  • 実践方法:
    • 定期的なチームミーティングを設ける
    • 内面を深く知る対話の機会を創出する(例:ランチミーティング)
    • プロジェクトの進捗や課題を共有する場を頻繁に設ける

これらの方法を通じて、チームメンバー間の理解を深め、予期せぬ状況にも柔軟に対応できる「阿吽の呼吸」を育みたいと思います。

3.3.2. 火種に気づいて炎上を防ぐ

プロジェクト内の小さな問題(火種)は、放置すると必ず大きな問題(炎上)に発展すると思っています。コミュニケーションが活発なほど、火種に気付ける可能性が高くなるため、まずは単純に情報流通量を増やすことが大切だと思いました。

実践方法:

  • メンバー全員が課題や違和感を容易に口に出せる場所を作る(例:Slackの雑談チャンネルを設置する)
  • 言いやすい環境づくりをする(例:心理的安全性に関する書籍を読み、実践する)

4. おわりに

この記事によって、私自身がPM兼任の役割を担うにあたっての心構えができました。完全に自分のための記事になってしまいましたが、同じような状況に直面している方々にとって、何かしらのヒントになれば幸いです。

謝辞

この記事を作成するにあたり、以下の方々からの貴重なインプットがありました:

  • チームリーダーの方々
  • 経験豊富なPMロールの方々

皆さんの洞察と助言が、この記事の内容をより良くしてくれました。

参考文献

また、オフィスで見つけた以下の本からも多くの学びを得ました。これらの知見は記事の随所に反映されています。

PMとしての役割を理解し、効果的に遂行するポイントを知る上で非常に有益でした。興味のある方は、ぜひ参照してみてください。